GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

SXSW 女性へのマーケティング

本日のSXSW発ブログでは、女性の購買力というセミナー内容をご紹介いたします。

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そのセミナー名は、

BADASS BUYING POWER -The Rise of Millennial Women-

超かっこいい購買力 -ミレニアル女性の繁栄-

 

どのブランドも女性の購買力、女性へのメッセージングに注目しています。というのも、今までになく高学歴の女性が増え、それに伴い女性の経済力が高まっています。

・87%の女性は広告に注目する(男性は73%)

・56%の女性は広告での女性の描き方を気に入ったため、商品を購入したことがある

・46%の女性は広告での女性の描き方が気に入らなかったため、商品を購入しなくなったことがある

 

広告に対して、女性の目は厳しいです。ここ5年間で女性をターゲットとした広告が圧倒的に増えました。今までも、広告は女性をターゲットにしていたのですが、大きな傾向として、広告での女性の描き方が大きく変わってきています。

 

Feminism+Advertisement=Femvertisement

 

女性がFemvertisementをサポートする一番の理由は、その下のZ世代への影響力。自分の妹、娘などに良い影響を与えるブランドをサポートしたい、と思う傾向にあります。

セミナーに登壇していたACURAの広告を紹介いたします。

ACURA RDXは、ACURAのラグジュアリーブランドであり、35歳以下の女性に大変人気の車種です。仕事バリバリ、高収入女性に向けた広告であり、女性を上司、男性を部下として描いているものです。キャリアウーマンでありながら、描き方が少しおちゃめで、等身大の女性を演出しています。

 

別の車ブランドAudiの広告で、今年のスーパーボウルでオンエアされたFemvertismentをご紹介いたします。

こちらの広告は、社会問題となっている男女の賃金格差に着目しています。Audiでは、賃金格差の解消実現へ働きかけている、とメッセージングしています。

別のセミナーでは、ビューティー業界など、多くの女性が活躍している業界がこういったメッセージングをするのはあまりにも当たり前であり、どちらかというと、男女の格差が明らかにある車業界、テクノロジー業界などがこういったメッセージングをしていくべき、という意見が出ていました。

このAudiの広告、とても素敵な広告なのですが、残念なことに、この広告をオンエアすることによって、Audi自身の上層部における女性の比率を調べられ、取締役6人のうち女性が1人も含まれていないことが発覚。大ブーイングです。実際、YouTubeの動画評価を見ると「GOOD」よりも「BAD」の数の方が多いです...。

ブランドが「ソーシャルグッド」と思ってやっても、会社のカルチャーと連動していないとせっかくのメッセージが薄っぺらく、嘘にしか聞こえない、という典型的な例となってしまいました。

しかし、会社のカルチャー・ブランドの存在意義とソーシャルグッドの内容がぴったりマッチングしているのであれば、今の若者のハートをつかむには効果的です。

 

Z世代の男女77%は、ビジネスの中心に「ソーシャルグッド」があるべきと思っている

という統計があります。

 

 

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AdForumより

 

Femvertisementという言葉が世の中に広まる遥か前に一世を風靡したDoveの広告があります。この広告が成功した1つの理由として、セミナーであげられていたのは、商品がせっけん、ボディローションなど、実用的なものだったため、でした。

女性は実用的な商品の広告には、自分が共感できる一般的な容姿の女性を見たい、と思っている一方、化粧品など、自分の容姿をよく見せるための商品の広告には、美しいと思うモデルを見たい、と思っているようです。

世界中の女性を応援、という名目で等身大の女性を描けばよい、というわけではないようで、ブランド・商品、消費者のモチベーションを考える必要があるようです。

 

実は、この女性へのマーケティングをテーマにしたセミナーの直後に、男性へのマーケティングをテーマにしたセミナーが開かれていました。今、女性へのマーケティングが大注目を浴びている中、男性に着目している、というのが珍しかったので、参加してみました。社会での女性の立ち位置が変化するとともに、女性への広告メッセージングが変化しているのですが、実は、男性も20年前と変わってきており、男性への広告メッセージングを変化させるべき、という内容でした。

 

今の男性が思う「良い生き方・人生」のボロメーターとは

#1 健康的で長生きする

#2 自分の運命は自分でコントロールする

#3 自分の好きなことをやる

#4 趣味を追求する時間がある

#5 家族との時間を増やす

#6 良き親である

#7 常に自己向上心がある

#8 結婚、もしくは信頼ある人間関係

#9 良いキャリア

#10 活発な性生活

 

今までSEX SELLS(セックスは売れる)と言われてきた広告の大原則が崩れるときが来たようです。

時代の変化とともに、男女問わず価値観が進化してきています。

カルチャーによって広告が変化しているのか、広告の変化によってカルチャーがシフトするのか...?