Quibi(クイビィ)とは、最近話題を集めている新しい動画ストリーミングサービスです。「なんだ、またかよ」と思うかもしれませんが、Quibiは他と一味違います。
HOLLYWOOD × SILICON VALLEY
まず、Quibiの創設者がJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーク)というハリウッドの名碗映画プロデューサーであること。Katzenberg氏は、ウォルト・ディズニーのアニメ部門の最高責任者として低迷していた同部門を「リトルマーメイド」「ライオンキング」「美女と野獣」「アラジン」などの大ヒットを立て続けに製作し、立て直したことで有名で、後にドリームワークスアニメーションのCEOを勤めた方です。
そのKatzenberg氏がQuibiを立ち上げる時に誘い、QuibiのCEOになったのがMeg Whitman(メグ・ウィットマン)です。このWhitman氏は、去年までヒューレットパッカードのCEOを勤めており、2008年のニューヨークタイムズ紙の記事で、アメリカ初の女性大統領になりうる女性の1人に選ばれています。彼女の最も大きな実績は、約30名規模で始まったebayというインターネットオークション会社を10年で世界規模の会社に成長させたこと。
そんな強烈な2人が立ち上げる会社は面白いに違いない。
Quibiとは、Quick Bites(手軽なひとくち)の略であり、スマホ用のショートフォームコンテンツのこと。そう、Quibiとは、スマホのために作られたハイクオリティ、プレミアムコンテンツを提供するストリーミングサービスです。
他のストリーミングサービスとの違いは?
結局Netflix、Hulu、Amazon Primeはどれもテレビの縛りから逃れていない、とのこと。スマホでも視聴できるようになっているのですが、実際にスマホで視聴されるのは10%以下で、このようなストリーミングサービスはほとんどテレビで視聴されています。さらに、コンテンツの長さも基本的にテレビのフォーマットに沿って30分〜1時間と長尺なものばかり。
Quibiが提供するのは、10〜15分ほどの短尺動画コンテンツ。例えば、2時間〜2時間半という映画の長さの動画コンテンツを10分ほどのチャプターに刻んでシリーズ化する、という。しかも、そのコンテンツを作るのは、ハリウッドの名監督たちである。すでにアカデミー賞受賞者のギレルモ・デル・トロとの契約は完了されており、今後、著名な監督たちと続々と契約を結んでいく予定です。
コンテンツは映画に留まらず、ニュース、コメディ、リアリティTV、とジャンルは幅広く提供する予定で、どれも共通しているのが、スマホでの視聴のために制作されたものであること。他のストリーミングサービスだと、テレビベースで考えているため、既存の番組の著作権購入すれば、プラットフォームにコンテンツとして並べることができるのですが、Quibiはスマホでの視聴環境を第一に考えて制作されたプレミアムコンテンツ、という新しいカテゴリーを構築しようとしているため、一からコンテンツを猛烈な勢いで制作途中とのこと。
コアターゲットは25〜35才。そのターゲット層は1日で約5時間、スマホに費やすと言われています。その5時間の中で、主に4つのこと、コミュニケーション、ソーシャルメディア、ゲーム、動画視聴、をしています。スマホでの動画視聴は6年前は6分、1年半前は40分、そして今日は70分と言われています。5Gによって、その動画視聴に費やす時間は増える一方かと思われます。
Quibiが成功するための2つの鍵
絆創膏のことをBandAidと呼ぶように、サーチのことをGoogleと呼ぶように、5年後、このようなストリーミングサービスのことをQuibiと呼ばれることを目指している、とKatzenberg氏。その成功を手にするには2つのことを達成しないといけないと話していました。
① 今までにない最高級クオリティのコンテンツを提供する
② 十分な量のコンテンツを提供する
→ 十分なコンテンツを提供できるために、ディズニー、コムキャスト、AT&T、パラマウント、MGM、ライオンズゲイトなど主要なエンタメスタジオ8社との提携が決定。
来年2020年春、月$5で提供開始予定。
先月参加したMWCで、5G対応のスマホで4K動画を視聴したのを思い出しました。5Gが徐々に一般消費者の手元へと渡る時代を読み取った新しい動画のあり方ですね。