GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

ブランド体験 海外広告事例

オリンピックとパラリンピックも終わり、いつの間にかめっきり秋らしくなってきた今日この頃、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。今回のブログでは、海外ブランドが提供しているブランド体験の事例をいくつかご紹介いたします。

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YouTubeよりスクリーンキャプチャ

ブランド体験とは、消費者とブランドの接点を通じて、ブランドの世界観を消費者に感じてもらう、というものです。「体験」という言葉がつくと、イベントやポップアップショップなどが、すぐに頭に浮かびますが、それ以外に通常の広告、ソーシャルメディアでのやり取り、店舗での対応などなど、ブランドと消費者の接点は限りなくあり、それぞれすべてがブランド体験となります。

今回はここ1ヶ月の中で面白い!と思ったブランド体験を3つ、ご紹介いたします。偶然にも3つとも食品ブランドであり、3つともパートナーシップが肝となっている事例となります。

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TOKYO OLYMPICS 2020 海外広告事例

7月23日の開会式から約1週間が経ち、世界のトップアスリートたちの熱戦が連日繰り広げられているオリンピック。思い描いていた東京オリンピックとは一味も二味も違いますが、皆さんは視聴されていますか?

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YouTubeよりスクリーンキャプチャ

米国の視聴率は、2016年のリオに比べ平均視聴率が42%減、と言われており、米国の放映権を持つNBCは視聴者数の低迷により、広告主と補償交渉に追われている、とブルームバーグ誌では報道されています。とはいえ、広告主にとって、オリンピックは一大イベントであることに変わりはなく、制作している広告を見ても、その意気込みを感じます。

ということで、今回は、海外のオリンピック広告をピックアップしております!

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SUPER BOWL 2021! 海外広告事例「今年はどう変わったか?」

はじめまして!昨年入社したグローバルビジネスグループの高嶋です。

今回から私もGLOBAL CREATIVE TRIPブログで海外広告についてご紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いします!

 

2020年から様々なイベントや試合などが中止になったり、今までとは違った形式で開催されており、今まで以上に注目が高かった今年のスーパーボウル

アメリカは現在世界で一番新型コロナウイルスの感染者数が多いですが、今年もスーパーボウルは開催を諦めず入場者数を減らして2月7日に開催されました。

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YouTubeよりスクリーンキャプチャ

スーパーボウルと言えば、アメリカンフットボールの枠を超えてスポーツ界の最大の祭典とも言われていますが、同時に放映されるCMも話題を集めています。

多くの企業が新型コロナウイルスの影響を受け、今年のCMはどう変わったかを紹介したいと思います!

 

【女性の活躍】

CMの出演や表現に関して多様化されるようになりましたが、未だ裏方では女性が監督を務めるCMは少なく、今回のスーパーボウルでも女性監督のCMはたったの4本。

女性監督を起用したCMを制作したP&Gは特にダイバーシティーの推進活動を社内外で勢力的に行っています。

Dawn & Swiffer “Come Clean to Close the Chore Gap”

P&GのCMで印象的だったのは、CMの中で出ていた「65%の家庭は一人で家事を負担している事が多い」という調査結果。

家事の負担に関してはまだまだ厳しい結果ですね。。。

ただ、家事の負担を平等にする事によりポジティブな効果も調査結果で出ていました!

 

・52%が一緒に家事をすることでパートナーとの距離を近づくことができる

・52%の男性は家事をすることで幸福度が増す

・81%の両親は子供たちと家事を分担する事が良い効果をもたらすと実感

 

この調査結果はCMの後半のナレーションでも反映されており、

「家事や掃除をするのは女性だけがするものでもなければ、

男性がするものでもない、一緒にするものだ。

一緒にやればより良い環境になる。それは家でも外でも。

と、共同で行っていくことの大切さとジェンダー平等を伝えています。

確かに一人よりも誰かと掃除をする方が楽しいだけでなく、いつもよりテキパキして捗る気がします(私の場合、一人で掃除をするとすぐ休憩が入ります・・・)。

 

ちなみに去年のスーパーボウルでもP&Gは"When we come together"というタイトルでホームパーティーで汚れてしまった部屋をみんなで掃除をするCMを放送。

訴えかけるテーマは同じでしたが、去年は多くの有名人が出演しセレブのホームパーティーでの一コマだったのに対して、今年は有名人を起用せずより自宅でのよくあるシーンに変え、華やかから身近なシチュエーションにシフトしていました。

ステイホームで家で過ごす時間が増えたからこそ、今回の家事の分担に関する調査結果と有名人を起用しなかったCMはより身近に感じ、家事の分担について改めて考えるきっかけにもなったと思います。

 

【希望をもたらしたCM集】

新型コロナウイルスの影響でいつも以上に挫けそうになったり、思うように人に会えない事で気分が塞ぎ込んでしまいがちな現代。

希望を持ち続けること、人との繋がりの大切さなど心温まるTOYOTAアンハイザー・ブッシュのCMも印象的でした。

 

TOYOTA “Jessica Long's Story | Upstream “

 

今回どのメディアでも高く評価されていたTOYOTAのCMではパラリンピック競泳選手のジェシカ・ロングが出演。

幼い頃に両足を失い、シベリアの児童養護施設からアメリカ人夫妻の養女として迎えられ水泳選手になるまでのジェシカ・ロング選手の半生を美しい60秒の映像と共に紹介されています。

特にお母さんが児童養護施設から、ジェシカさんに障害があり「決して簡単な人生じゃないけど・・・」と言う問いかけに返した言葉が感動を呼びました。

「簡単な人生じゃないもしれないけど、きっと素晴らしいものになるわ」

 

CMの最後は、

”We believe there is hope and strenght in all of us"

すべての人に希望と強さがあると信じています

と締めくくり、私たちに希望と強さを与えています。

そしてジェシカ・ロング選手が障害を抱えながら乗り越えてきた半生を映像化した事で、私たちの中にも潜在している能力や秘めた可能性があることを伝えており、

同時にそれはTOYOTAのブランドパーパス の

Unleasing human potential through the power of movement.

モビリティの力を通して全人類の秘めた可能性を解放する

を伝えています。

見返せば見返す程、映像、ストーリー、コンセプト、全てに深みがあり美しいCMでした。

 

Anheuser-Busch “Let's Grab a Beer”


次に紹介したいのが、今年初めてスーパーボウルで企業CMを放送したバドワイザー の親会社アンハイザー・ブッシュの“Let’s Grab a Beer ”

Let’s Grab a Beer" (日本でよく使う「一杯飲みに行こう」) というフレーズをコロナ禍になる前の日常の様々なシーンで紹介をしており、そこには慰めあったり、謝りたかったり、迎え入れたりなど、色々な思いが込められています。

当たり前のように使っていた言葉が今では難しいですが、人との触れ合い、温もりの大切さを実感し、私たち人間はお互いを必要としている事を痛感させられます。

そしてストーリーだけでなく映像全体も色のトーンが全体的にドラマチックで美しいなぁと思っていたら、なんと!デヴィッド・フィンチャーがプロデューサーとして入っていました。

見返してみると全体的のカラートーンがブルーなのもフィンチャーらしさを感じます。

 

ちなみに1973年からスーパーボウル でCMを放送し続けていたバドワイザーは今年は放送をせず、広告に当てていた資金の一部をアメリカ広告協議会とCOVIDコラボレーティブに寄付し、ワクチン接種の啓蒙ビデオを制作しています。

映像の一部はロックダウン中にスマホで撮影されたもので、辛い状況でもダンスをしたり歌ったりしている明るさや希望を忘れないアメリカ人が映し出され、強く心に響く内容でした。

 

 【懐かしのあのシーンあの人達!】

スーパーボウルの視聴者の年齢層が30代半ば〜40代半ばが多い事もあり、今回30代以降の人たちにとって懐かしのキャラクターやシーンを起用したCMも多かったです。

私も35歳なので正にドンピシャ世代で胸が熱くなりました。

 

Cadillac “LYRIQ | ScissorHandsFree”


 

キャデラックハンズフリー自動車のCMの舞台は1991年に大ヒットした映画「シザーハンズ」!

ウィノナ・ライダーは当時のキャラクターのまま演じ、肝心なシザー・ハンズ役はジョニー・デップではなく息子役としてティモシー・シャラメが登場しました。

ジョニー・デップに引けを取らないティモシー・シャラメの透明感と美しさ・・・

そしてオリジナルに寄せた色鮮やかな世界と演出もあり、懐かしい気持ちに浸ってしまいますが、そう、これは続編ではなく、キャデラックのCM。

最後はハンドルを握らず運転を楽しむシーンでハンズフリー自動車LYRIQを紹介していて、「なるほどね!」と最後の最後まで楽しめるストーリーでした。

 

Cheetos “It wasn’t me”

Cheetosではアシュトン・カッチャーミラ・クニス夫妻と2000年に大ヒットした曲”It wasn’t me”のShaggyが出演!

アシュトン・カッチャーが妻のミラ・クニスに「僕のCheetosまた食べた?」の質問に対して、Cheetosを食べたのがバレバレなオレンジの指を見せながら

”It wasn’t me( 私じゃないわ )"と言うミラ・クニス

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YouTubeよりスクリーンキャプチャ

 

 アシュトン・カッチャーがShaggyの”It wasn’t me”の曲を替え歌しながら、ミラ・クニスに「ソファーでもシャワーでも〜」と詰め寄るやりとりや、Shaggy本人が歌うシーンはユーモアたっぷりで最後まで見飽きないCMになっています。

ちなみにCheetosを食べて指がオレンジ色になる事をCheetle(チートル)と呼ぶのですが、昨年のスーパーボウルのCMでも90年代に一世風靡したM.C.ハマーが登場し、指がオレンジのCheetleになって何も触れない様子を大ヒットした曲”Can't touch this”を歌って話題を集めました。

 

そして今回もう一つ新しい試みだったのが、試合が開催された2月7日限定のCheetosとSnapchatとのコラボレーション企画。

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ADWEEKより

放送されたCMをSnapchatのカメラレンズをかざすと、Cheetos Crunch Pop Mixの引換券が手に入るという仕組みで、CM / AR / サンプリングの組み合わせに視聴者も飛びつき、反響を呼びました。

また、IBMワトソンのAI知能を使ったtwitter分析によると、今回Cheetosの広告が最も購買意欲を高め、今年スーパーボウルの広告に出演したセレブリティの中でミラ&アシュトン夫妻のメンション率も一番高かったそうで、Cheetosの狙いは成功したと言えるでしょう。

 

以上、ほんの一部でしたが、話題になり印象的だったCMをご紹介させて頂きました!

 

開催を決行したこと、観客を導入したことについては、それぞれ色々な思いはあると思いますが、スーパーボウルが開催されたことは大きな希望と感動を与えてくれたと思います。

そして今回CMだけでなく試合やハーフタイムショーを通して、人との繋がりや温もりの尊さを感じました(夏になると野外音楽フェスで忙しくしていたので、ハーフタイムショーでは思わず涙・・・)

1日も早く世界中が安心して暮らせるようになり、また肩を寄せ合ったり、抱きしめあって喜びや悲しみを分かち合える日を待ち望んでいます。

 

Happy Holidays! 海外広告事例

波乱な2020年も、あと1ヶ月で幕が下がろうとしています。先週アメリカでは感謝祭も祝われ、このまま一気にホリデイシーズンへと突入!となります。

いろいろとあったこの1年間、各ブランドはどのようなホリデイ広告で1年の終わりを飾ろうとしているのでしょう。スーパーボウルを除き、海外ブランドが一番力を入れるホリデイ広告。話題となった広告をいくつか、ご紹介いたします!

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BLACK LIVES MATTER 海外広告事例

いつの間にか6月になり、もうすぐで1年の折り返し地点に差しかかろうとしています。前回のブログ記事から2週間が経ち、予告として「こんな時だからこそ、クスッ、ニヤッ、ワハハを提供している海外広告をご紹介しようと思います!」と締めくくってから、海外事情に大きな変化が...。

BLACK LIVES MATTER

各メディアが今報じているのは新型コロナウイルスではなく、5月末に起こったジョージ・フロイド殺害事件を引き金に加熱しているブラック・ライブズ・マター運動と、日々行われているデモについて。特に新しくもない人種差別問題。新しくないことに問題があります。BLACK LIVES MATTERが生まれたのは2013年で、もうすでに7年前。ジョージ・フロイドと同じように、トレイボン・マーティンという黒人少年が白人警官に殺害されたにも関わらず、警官に無罪判決が下された時に始まりました。同じような事件が毎年毎年繰り返され、デモがあっても何も改善されず...。ただ、今年はどこか違う、何かが変わろうとしている、と思う私は楽観的すぎるのでしょうか。

やっと、多くの命が失われたのち、アメリカはBLACK LIVES MATTERの意味と緊急性を理解し始めてきていて、今、沸点に到達した。

アリシア・ガーザ BLACK LIVES MATTER 共同設立者

今回は何か様子が違うと思うのは、デモ運動の大きな広がりと、多くの有名人やブランドが積極的に声をあげているのを見て。多くの消費者やファンは、影響力を持つブランドやセレブリティは、各々持つプラットフォームを使って、この運動をサポートすべき、と信じている。

 

6月頭に行われたエーデルマンにの調査によると...

56% ブランドは人種差別に対して道徳的な立場をとる社会的義務がある

60% ブランドは人種差別の根本的な問題を解決するために投資すべき

57% ブランドは人種差別について社会を教育すべき

60% ブランドの人種差別に対する対応を見て、購入するかボイコットするか、判断する

 

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YouTubeよりスクリーンキャプチャ

非常に敏感なトピックについて、各ブランドはどのような取り組みをしたのか。この2週間、賞賛を浴びたブランド、火傷を負ったブランド、ともにご紹介します。

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新型コロナウィルス時代と海外広告事例 その4

ついに日本全国において、緊急事態宣言が解除されました。日本だけでなく、海外各所でも少しずつ制限が緩和されつつあり、コロナと生きる新しい生活「New Normal」に適応し始めようとしています。

ただ、新型コロナウィルスの傷跡は深い。5月24日付のニューヨークタイムズ紙の朝刊一面を埋め尽くしたのは、新型コロナウィルスで命を落とした1000名の犠牲者の名前です。見出しには「米国の死者10万人に迫る。計り知れない損失」。一面と中面の3ページ、合計4ページに渡って紹介された1000名の犠牲者は、アメリカでの死者数のたった1%を表しています。

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2020年5月24日 ニューヨークタイムズ

紙面だけでなく、「計り知れない損失」と名付けられたマイクロサイトを立ち上げ、3月頭から今に至るタイムラインとともに、被害となった人々をスクロールに合わせて紹介するインタラクティブコンテンツも一緒に公開しています。シンプルでありながら、世の中に多大なインパクトを与え、大きな話題を呼んでいます。

同週末、NIKEからは、新型コロナウィルスに合わせて立ち上げた「You Cant's Stop Us」キャンペーンの第2弾となる動画広告が公開されました。スポーツでの逆転ドラマというNIKEならではのスポーツメタファーを使って、コロナウィルスと戦う全世界へ向けて、希望に満ちたメッセージを伝えました。

www.youtube.com

ナレーションは、バスケットボール選手のレブロン・ジェームズによるもの。

 

ニューヨークタイムズ紙の犠牲者名の掲載、NIKEの熱い広告。

さまざまな思いが掻き立てられる週末となりました。

 

次回のブログではこんな時だからこそ、クスッ、ニヤッ、ワハハを提供している海外広告をご紹介しようと思います!

 

Until next time!  Stay safe!

新型コロナウィルス時代と海外広告事例 その3

いつの間にか5月中旬!どこか、気持ちはコロナが拡大を見せた3月のまま、時間が止まっているように感じるのは私だけでしょうか。通常ならば、あと1ヶ月後に控えるカンヌライオンに向けてセカセカと準備を進めていたはずが...!

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ソーシャルメディアよりスクリーンキャプチャ

今回ご紹介する海外広告の事例たちをつなぐの1つのテーマはなく、ただ単純に気になった広告をご紹介いたします!(あ、ちょっと雑っ 。)

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