GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

SXSW ブランドと消費者の会話

テキサス州のオースティンで開かれているSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)いよいよ始まりました!

 

今年3年目の参加となるのですが、毎年参加しているのが、SXSW中心地から少し離れたところでひっそりと行われるブランド中心の話をまとめたカンファレンスOMMA@SXSWです。

 

オースティンでは珍しく雨続きとなっている中、参加したこのカンファレンスの1つ目のセミナーは、「Talk to the Brand: AI, Bots, and Conversational Marketing」というタイトルのもの。

 

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Conversational Marketing = 会話型マーケティング

 

コンシューマーファーストの時代、ブランドが一方的にマスで消費者へ会話するのではなく、消費者のいるところへブランドが行き、1対1で会話していく、というのが重要となってきています。

 

その1対1の会話を実現させているのがチャットボットやパーソナルアシスタント、というテクノロジーです。進化し続けるテクノロジーを利用して、いかに自然にブランドが消費者の生活に馴染んでいけるかが鍵となってきます。

 

Frictionless = 摩擦なく

 

セミナー中によく耳にした言葉ですが、違和感なく、テクノロジーを感じさせなく、シンプルに消費者へサービスを提供する、というのが重要、ということ。

 

Capital Oneというアメリカの金融会社が昨日、SXSWに合わせて発表したのが、チャットボットのENO。

メッセージングを通して、お客さんが自分の金融情報を確認することができるチャットボットです。Head of Conversation Design(←こういった役職が存在することに少し驚きですが、今本当にいろんな役職がありますねー)のステファニー・ヘイさんは、ENOを制作した理由はもちろん、消費者へ手軽で便利なサービスを提供する、というのが目的ですが、その傍ら、消費者との会話を促進させ、消費者のデータを蓄積し、よりパーソナライズされたサービスの提供できるようにし、ブランドと消費者とのより深いつながりを作ろうとしています。

 

チャットボット以外に、去年からAmazon Alexa Skillsを通して、金融情報を提供できるサービスも開始しています。


Alexaを使用するときの課題として、Alexaの声が自分のブランドの声となるので、注意すべき点がいくつかある、と言っていました。

・機械っぽく聞こえるAlexaをどう親しみやすくできるか、言葉選びが大切(Helloの変わりにHi thereと言わせてみる、とか)

・Alexa自身のパーソナリティもあるため、ブランドイメージに無理矢理合わせようと、Alexaらしさから外れると信頼性が欠ける("Alexaが言わされている感"を持たせないようにする)

 

Amazon Alexaをブランドが使用する際、1つの問題点としては、AmazonがSkillsを通して取得しているデータは、そのままRAWの状態でブランドには提供せず、アマゾン解析という形で提供しているということです。

そのままの消費者の行動(発言)データが欲しいと思ったCapital Oneは独自のチャットボットを開発し、データを取得するようにしたそうです。そのデータを利用し、より良いサービスの向上を目指しています。

 

チャットボットを開発、使用しているもう1つのブランドは1-800-flowers.comというギフトデリバリー会社です。名前からも分かるようにこの会社はもともとフリーダイヤルからの花注文という事業からはじまったのですが、時代の変化とともに、注文の仕方も進化させていきました。Capital Oneと同じように、Amazon Alexa Skillsを利用しているとともに、ギフトコンシェルジュGWYNというAIチャットボットを開発し、ギフトレコメンデーションとともに注文できるようしています。

 

このようなサービスで必ず話題にあがるのがプライバシーの問題です。サービスを利用することによって、ブランドは消費者のデータを蓄積し、パーソナライズされたより良いサービスを提供しようとしているのですが、消費者はそのデータを利用されることにどれほど快く思っているのでしょうか。

それはデータを提供するに値するサービスなのか。

 

結局は自分の情報を提供することによって、より良いサービス、より良いエクスピリアンスになるのであれば、データをブランドに提供するのに、さほど抵抗は感じないようです。特に若い世代に関しては、よりオープンですね。しかし、キーポイントとなるのが、その価値があるのかどうか、です。

 

 

テクノロジーにより、ブランドが1対1で消費者と対話できる機会が増えています。ブランドは、より消費者について考え、消費者に共感し、消費者のニーズを理解することが大切となってきている、と実感するセミナーでした。