SXSW2019 Bose AR
オーディオがアツイ!
今年のSXSWで個人的に一番楽しみにしていたのが、Bose AR。スマートスピーカーの普及、オーディオファーストの時代に向けてMWCで発表されたMasterCardのソニックブランディング、CESでソニーが展示した360リアリティオーディオ、急激なポッドキャスト人気を見ていると、今はオーディオがアツイ!というのがわかります。そのオーディオを使って、ユーザーエクスピリアンスを拡張しようとしているのが、Bose ARです。
まず、Bose ARとは
Bose ARとは、Boseというスピーカーブランドが立ち上げたARプラットフォームです。ARと聞くと、勝手に視覚的なものかと思いがちですが、Augemented Realityとは、「現実拡張」という意味なので必ずしも視覚的ではなく、Bose ARが提供するのはオーディオを通しての現実拡張です。
Bose ARを使えるデバイスは、すでに前から販売されていたQC35 IIというヘッドフォンと、新しく発売されたBose Framesというサングラス型ヘッドフォンです。モーションセンサーとGPSが内臓されているので、ユーザーの位置情報とともに、ユーザーの向いている方向性までもがわかります。サングラスもヘッドフォンも、どちらも頭につけるものなので、ユーザーが何を見ているのか、視線を知ることができ、そのことにより、ユースケースの幅が広がるかと思います。
去年のSXSWで、すでにBose ARというコンセプトは発表されていたのですが、その時はまだプロトタイプで、SXSWに参加していた人たちにコンセプトについてどう思うかをヒヤリングする、という目的だったようです。その時の反応が良かったため、今年は大々的にBose ARを掲げてBoseはSXSWへ戻ってきました。特設会場での展示とポップアップストアに加え、すでに開発したBose ARを使ったアプリのユースケース、オーディオARを作る際の道しるべ等を紹介するセミナーも多数開催しています。
新しく販売されたBose Frames
サングラスをかけただけなのに、音楽が聞こえる!?本当に自分にしか聞こえないのか、音漏れしていないのか、何回か確認してしまいます。サングラスであり、ヘッドフォンであり、AR機能付きで、マイクもあるので電話もできちゃう優れものです。価格は199ドル(税込だと約2万5千円です)。
Boseの特設会場
Bose ARの会場で最初に案内されたのが、Bose FramesとYelp(アメリカ版食べログ)APIを使った体験です。街中にあるレストランに視線を送り、サングラスのフレームを2回タップすると、Yelpに掲載されている店舗情報を音声で教えてくれる、というものです。Boseは、このARプラットフォームを通して、トラベル・エンタメ・ウェルネスの3つのカテゴリーを拡張していきたい、と考えており、このYelp APIを使った体験はトラベルカテゴリーに配属されます。確かに、旅行中だと、周りを見渡したい、という願望があるのに比べ、地図やら旅行アプリやらでスマホを見ている時間が多いかもしれませんね。
あとは、ゴルフのアプリも紹介されていました。ゴルフ場のグリーンに立った時、位置情報を使ってホールから自分が何メートル離れているのか、モーションセンサーで自分が打つべき方向を向いているのか否か、音声で教えてくれるものです。ゴルフをする時、サングラスをかけることが多いで、違和感なく、使えますね。
Bose ARの良い点
Boseが創造するARが優れている点として、まず、今のユーザーの行動を変えずにARを手軽に、ハードル低く届けることができる、ということです。専用のヘッドセットが必要と言ってもサングラスかヘッドフォンであり、すでにユーザーが日常的に使用しているものなので、誰でも導入しやすいですね。また、Bose Framesで言うと、耳を塞がなくても音声、音楽が聞こえてくるので、人間の持つ五感のどれも遮ることなく、拡張という体験を重ねることができます。視覚的なARだと、どうしても視野が遮られたり、スクリーン越しでなくてはいけなかったり、というのに比べ、抵抗なく試せる、というのが良いですね。
まだまだアプリの数は少ないのですが、Bose ARが持つポテンシャルはすごいものかと思います。また今回のSXSWで大きく告知できたので、今後、多くの開発者によって、「あ、そんな使い方があったのか!」と思うものも誕生するのではないでしょうか。
影響されやすい私は早速、この機会を逃すまいと思い、Bose Framesを購入しました!「小さいサイズが今品切れだけど、明日になったら入荷するよ」とお姉さんに言われたのに、待ちきれず「大きいサイズでOK!」と言って購入したのですが、やはり大きい...。これは悔しすぎる、と思い、結局小さいサイズを翌日購入...。
まだ日本で売られていないBose Frames(大きいサイズ)を手に入れたい方は児玉へ一報を!