GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

カンヌセミナー2019 Day1

今年もカンヌの季節が到来しました!ほんっとに1年が早いですね。今年で参加6年目となるのですが、なんとなく感じる、今年のカンヌは...パ・ス・テ・ル...?

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今年の旗も、カンヌバックも、パステルカラー

やさしい色合いの今年のカンヌ。1日目に参加したセミナーから話題をいくつか、ざっくりとご紹介いたします!

P&G × THRIVE GLOBALのパートナーシップ

今年1月のCESで発表されたP&GのLIFE LABがカンヌのヘルスステージでも登場!LIFE LABとは、イノベーションと先端テクノロジーを通して、商品とサービスに付加価値を与え、消費者の生活をより豊かにする、というP&Gの働きです。

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OlayのAI肌診断やSKIIの未来のリテールを展示

そのLIFE LABの一角に展示されていたのが、本日開催されたP&Gのセミナーで発表されたTHRIVE GLOBAL(スライブ・グローバル)とのパートナーシップの内容。

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THRIVE GLOBALとは、ハフィントン・ポスト創業者であるアリアナ・ハフィントンが立ち上げた「ウェルネス・スタートアップ」

ストレス過多、燃え尽き症候群などの社会問題が世界中に広がる中、スライブ・ グローバルがミッションとしているのは、ストレスを人々の生活からなくし、本来人間が持つポテンシャルを引き出す、というもの。その1つの方法として、スライブ・グローバルが提唱しているのが「Microstep Habit Stacking(マイクロステップ・ハビット・スタッキング)」です。

Microstep:ちょっとした小さなステップ

Habit:習慣

Stacking:積み重ね

いわゆる「ちょっとした小さなステップを積み重ねる習慣」を作ることにより、行動変容を促し、ストレスの少ない、より健康的な日常へと変化させる、というものです。

毎日の習慣といえば、P&Gが提供している多くの商品は日常習慣に根付いているものであり、スライブ・グローバルの言う「マイクロ・ステップ・スタッキング」をP&Gの商品に組み合わせることによって、より健康的で幸せな日常を消費者に提供できるのではないか、という考えからスタートしたパートナーシップです。

と、私なりに説明してみたのですが、何度読み返してみても、分かりづらい...。とりあえず、どう商品とポジティブな習慣づくりを結びつけているか、実際のブランドで説明してみます!

 

Crest(クレスト) 歯磨きブランド

クレストのブランドミッションは、世の中に笑顔を増やすこと。科学的に、感謝の気持ちを持つことにより、ポジティブな気持ちが湧き上がり、笑顔が増える、と証明されています。

スライブ・グローバルがクレストのために考えたマイクロステップとは、歯磨きをしている最中、感謝していること3つを思い浮かべる、というもの。

 

Secret(シークレット)女性用制汗剤ブランド

頑張る女性は汗をかくものですが、特に、ストレス値の高い時こそ、汗をかきます。しかし、最も大事なことは何か、と優先順位をつけることによって、ストレスを軽減し、より効率的になれる、と言われています。

スライブ・グローバルがシークレットのために考えたマイクロステップとは、朝、制汗剤を塗布するとき、その日の中で一番の優先事項を選び、それを制覇する、と自分に言い聞かせる、というもの。

上記2つの事例のように、P&Gに存在する6つのブランドが「マイクロステップ・ハビット・スタッキング」を取り入れる、 と今日、カンヌで発表されました。

ただ優れた商品を提供するのではなく、スライブ・グローバルとのパートナーシップを通じて、消費者の生活をより良いものへと変える習慣を埋め込み、消費者体験をより向上させることができると信じている。

マーク・プリチャード(P&G, Chief Brand Officer)

 

TargetのDiversity & Inclusion

カンヌ1日目にして、すでに色濃くトピックとして上がっているのが、Diversity(多様性)とInclusion(包括性)です。どの企業も真剣に考えているこのトピックに対して、真っ向から取り組んでいるのが、ディスカウント百貨店チェーンであるTarget(ターゲット)です。早くから従業員の多様性に取り組んでおり、多様性/包括性に特化した部門が社内にあるほど。そんな多様性と包括性について真剣に考えているTargetのセミナーで紹介されたのが、TargetがプロデュースしているCat&Jack(キャットアンドジャック)という子供用衣類ブランドのアダプティブ・ コレクションです。

アダプティブ:適応性のある

(この場合、身体障害者に適応された衣類コレクションのこと)

少し前から「多様性」はトレンドワードになっていますが、今までは、女性、有色人種、LGBTQにばかり着目されていた気がします。しかし、去年から今年にかけて、Tommy Hilfigerのアダプティブコレクションや、マイクロソフトアダプティブコントローラーなど、身体障害者へ向けたブランドの働きかけがすごく増え、目立ってきています。

 

本日の授賞式でも、アダプティブ・デザインを取り入れた作品がいくつかゴールドを受賞していました。その1つをご紹介!

 

IKEA "ThisAbles"

身体障害者向けの家具は、値段が高い上に、「障害者!」と叫ぶようなデザインばかりです。そこでIKEAが考えたのは、いつもの家具にプラスアルファすることによって、誰でも使えるものへと変えるアダプティブ・デザイン。身体障害者を招いてハッカソンを行い、そのハッカソンから13個のプロダクトが誕生しました。しかも、そのプロダクトを誰でもが手に入れられるよう、3Dプリンターで印刷できるよう、ウェブから3Dデータをダウンロードすることができます。

"ThisAbles(ディスエイブルズ)"というタイトルも、これまたシャレオツですね。
Disable:able(=有能)ではない、という意味。身体障害者のこと。

ThisAbles:This(=これ)によって、able(=有能)となる、という意味。

 

多様性と包括性はよく、ひとまとめにされがちですが、違いについて、別のセミナーでこう言われていました。

多様性はパーティに招待されること。

包括性は「踊ろう」と誘われること。

ニナ・ビビー(O2、Chief Marketing Officer)

今後はもっと、多様性についてだけでなく、多様性が確立された上で、包括性をどう実現させていくのか、というのが、課題となっていくのではないでしょうか。