GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

新型コロナウィルス時代と海外広告事例 その2

いつのまにか5月に入り、季節が初夏へと移り変わった今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。家で過ごす時間が圧倒的に多くなり、今では家は寝床だけでなく、映画館、ジム、レストラン、スパ、ライブハウス、農園などなど、さまざまな形へと変貌している、という方が多いのではないでしょうか。 

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ソーシャルメディアよりスクリーンキャプチャ

長期戦となっているコロナウィルスとの戦いで、この約2ヶ月で消費者へ対するコミュニケーションがどんどん進化してきた、とアメリカのアンハイザーブッシュインベブCMOがAdweekの記事で言っていました。(以下記事より抜粋)

一番最初に、ブランドとして、どうコロナと戦っていけるのか、と考え、自社の工場で消毒液を作ったり、スポーツチームと協力してスタジアムを赤十字サポートセンターに作り変えたり、コロナとの戦いを支援しました。次に、「どうすればいいの?」「どう適用すれば良いの?」と不安に陥る消費者と全体的に重々しい空気が漂う中、あえて前向きな明るめなトーンで#StayHomeを提唱する広告をいくつか公開し、ムードを変えようとしました。そして、いま、多くの人が新しく変わった生活に慣れはじめ、家で楽しみながら人との新しいつながり方を発見しています。各ブランドではバーチャルハッピーアワーや、音楽ライブ、生ゲーム番組など、家にいながら人とつながるエンタテインメントコンテンツを提供し始めています。

 

外へ遊びに出れず、家で過ごす「おうち時間」にブランドとして何を提供できるのか、どう消費者を楽しめられるのか、どのブランドも思考を凝らしているのが、見える最近の海外広告事例をご紹介いたします。

BUSCH BEER | BUSCH BEER TRIVIA

Busch Beer Triviaとは、Facebook Liveから始まり、今ではFacebookInstagramで同時配信している週1回のクイズ番組です。1回30分のライブ配信では、BUSCHにまつわる質問が3問出され、正解者は賞品を獲得することができる、というもの。「正解」と言っても、明確な正解はなく、チャット欄で行われる大喜利大会で、司会者が最も良いと思った答えが正解となる、ゆるくほんわかしたものです。

質問例:BUSCH愛飲者を釣るためには、ルアーに何をつけるべき?

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Facebookよりキャプチャ

https://www.facebook.com/Busch/videos/677871866377796/

司会者は、BUSCHのコマーシャルにここ数年出演しているブランドの顔「BUSCH GUY」で、ゆるいキャラが良い味出しています。

 

HEINZ KETCHUP | PUZZLE

いま、多くの人が家で時間を持て余しているとき、思わぬ復活劇を遂げているのが、ジグソウパズルです。そこで、Heinz Canadaから登場したのは、オリジナルで作ったジグソウパズル。570ピースあるパズルは、なんと、すべてがHeinz Ketchupの赤一色。製造したのはたった57個で、応募するには、このパズルを誰と一緒に完成させたいか、投稿するだけ。少しほしい....。

コピー> ハインツは良いものには時間がかかると知っている。そして今、私たちにはその時間がいつもより少しある。なので、これを作ってみました。570 ピース。すべて全く同じハインツ赤。誰と一緒に完成させたいか、教えて。そしたら、57個中の1個はあなたのものになるかも。

 

良いものには時間がかかる」というコピーは、ハインツのガラス瓶からケチャップを出すのにはイライラするほど時間がかかる、というあるあるネタを自虐的に取り入れたものです。2月にケチャップの出にくさをプロダクトデザインで解消しようとしたケースムービーもついでにご紹介。

コピー>150年間、人類は次を検索してきた:瓶からハインツケチャップを取り出す最善策

 

CROWN ROYAL | GENEROSITY HOUR

毎週金曜日の夕方にInstagram Liveでミュージシャンによるライブパフォーマンスを楽しめるバーチャルハッピーアワーを開催。

www.instagram.com

また、「乾杯!」とグラスを上げている画像を#GenerosityHour、#CrownRoyalDonationのハッシュタグとともに投稿すると、親会社であるDiageoが1投稿につき1ドル、アメリカ・バーテンダーズ・ギルド(バーテンダー団体)へ寄付する、という寄付活動も行なっている。

 

REYKA VODKA | BEARD OF THE WEEK

アイスランドウォッカブランドであるREYKA VODKAが行なっているのは、ウォッカとヒゲが大好きなアイスランドにちなんで、BEARD OF THE WEEK(今週のおヒゲさん)チャレンジです。#REYKABEARDというハッシュタグを使って、自慢のヒゲを投稿。1週間に一度、選抜された2名のヒゲをInstagram Liveで視聴者投票を行い、その週の勝者を決め、勝者には賞品が送られる、というシンプルなもの。

www.instagram.com

考えれられているなー、と思うのが女性でも参加できるツールをInstagram上に用意している、ということ。オリジナルで(わりと雑に)作ったInstagramフィルタを使って擬似ヒゲをつけたり、Instagram StoriesのステッカーからREYKAオリジナルのヒゲステッカーを使ってみたり、制作者側も楽しんでいる感じがする施策です。

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Instagramよりキャプチャ

 

消費者の新しいライフスタイルに合わせて、家で楽しめるエンタテインメントコンテンツ、特にライブコンテンツを提供してブランドが多くなりましたね。また、毎週決まった曜日と時間に設定しているものが多く、曜日感覚がなくなりつつある今、曜日を意識させる手助けにもなっているのかも!?テレビ録画のない時代を少しだけ思い出す児玉でした。

Until next time!   Stay Safe!