GLOBAL CREATIVE TRIP

世界各国を旅しながら働く児玉が、海外のクリエイティブトレンドをいちはやくレポートします。

TOKYO OLYMPICS 2020 海外広告事例

7月23日の開会式から約1週間が経ち、世界のトップアスリートたちの熱戦が連日繰り広げられているオリンピック。思い描いていた東京オリンピックとは一味も二味も違いますが、皆さんは視聴されていますか?

f:id:bbmedia:20210802194508j:plain

YouTubeよりスクリーンキャプチャ

米国の視聴率は、2016年のリオに比べ平均視聴率が42%減、と言われており、米国の放映権を持つNBCは視聴者数の低迷により、広告主と補償交渉に追われている、とブルームバーグ誌では報道されています。とはいえ、広告主にとって、オリンピックは一大イベントであることに変わりはなく、制作している広告を見ても、その意気込みを感じます。

ということで、今回は、海外のオリンピック広告をピックアップしております!

Procter & Gamble "#LeadWithLove"

オフィシャルスポンサーのP&Gからは、大きく2つの広告が発表されています。

1本目は、Love Leads to Good(愛は善へとつながる)という2分半の動画。ここで表現しているLoveとは、母の愛情。ボクシングの練習中に喧嘩をはじめてしまう男の子、車椅子で思うようにプレイできなく泣いてしまう女の子、女子に負けて苛立ちを隠せない男の子。そこに駆けつけ、愛情を持って、尊重と思いやりを子どもに教える母親たちの姿。

 

コピー:

We can be the people you taught us to be.

あなたが教えてくれた人物像に、私たちはなれる。

 

2010年バンクーバー冬季オリンピックで、はじめて選手ではなく、選手の母親に着目した"Proud Sponser of Moms"キャンペーン以来、オリンピックごとに母親の偉大さを描くのが定番となっているP&Gの広告。母親の偉大さは以前と変わらず語っていますが、ここ10年でシフトしてるのは、アスリートに求める価値観の描き方です。2012年、2014年、2016年、2018年のP&Gのオリンピック広告では、どんな試練にも母親の愛情によって乗り越え、「優勝を掴み取る」というのが感動のオチでしたが、今年のオリンピック広告のオチは「優勝」ではなく、ヒューマニティでした。

補足:アメリカ代表として描かれているボクサーの選手がヒスパニックであることも時代を感じるキャスティングと言えます。

2本目の動画でもそれが語られています。以下は日本版となります。

Thank you Momキャンペーンは個人的に大好きなシリーズですので、振り返ってみましょう。ティッシュのご用意を!

 

Channel 4 "Super. Human"

こちらもオリンピックパラリンピック時期の定番となりつつある広告シリーズ"Superhuman"のご紹介です。Channel4 とは、パラリンピックを放送するイギリスの公共テレビ局です。パラリンピックに出場する選手たちを障害者ではなく「スーパーヒューマン(超人)」とカッコよく紹介した2012年の動画、華やかな2016年の動画は、皆さまの記憶に新しいのではないでしょうか。

今回は、この超人たちの「スーパー」な部分ではなく、「ヒューマン」な部分をピックアップし、アスリートたちが日々直面する努力と苦悩を描いています。障害者である前に人間である、という描き方は、実はもう一歩平等に近づいている証拠なのかもしれません。トーンは明るく、最後のコピーでも表現されているように、少し面白おかしい映像となっています。

 

コピー:

TO BE A PARALYMPIAN THERE'S GOT TO BE SOMETHIING WRONG WITH YOU

パラリンピック選手になるには、どこか異常でないとなれない

 

BBC "Tokyo 2020 Olympics | Trailer"

こちらもイギリスの公共放送局のオリンピック広告となります。緻密な計算により、出来上がっているこの映像は、未来的でファンタシーな東京を描いております。日本人として、海外から日本はこう想像されるんだなーと新鮮さも感じますね。

フランスのテレビ局の広告も新鮮ですが...

 

NIKE "Best Day Ever"

オフィシャルスポンサーではないですが、スポーツといえばナイキ。5月にローンチした"Play New"キャンペーンの一環としてオリンピックに合わせて公開しているのが、"Best Day Ever(史上最高の日)"という動画です。「史上最高の日、それは明日」と伝えるナイキの広告で表現されているのは、次世代アスリートたちの野望。女子100メートル走で10秒の壁突破、靴が生える植物の開発、火星でマラソン、などポップに声高々と次々と畳み掛けられる。中間部分に、「アスリートのメンタルヘルスを誰もが尊重するようになる」と、いまスポーツ界が直面している課題にも触れています。

 

ちょこっとだけご紹介しました広告、いかがでしたでしょうか。

広告だけでなく、海外ニュースの取り上げられ方を見ていると、オリンピックは勝ち負けではなく、ヒュマニティの祭典だな、と実感する今日この頃でした。