GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

冬季オリンピック・国際女性デー 海外広告事例

東京でのオリンピックが終幕した、と思えばすぐに開幕していた北京での冬季オリンピックパラリンピック

東京2020が2021に後ろ倒しになっていたとはいえ、スパンが短くて不思議な感じがします。が、今回もしっかり北京オリンピック版のCMが制作されていました!

そして、パラリンピックの間にやってきた国際女性デー。

こちらも引き続き、各ブランドによるアクションが公開されています。

 

YouTubeからのスクリーンキャプチャ

 

まずは北京オリンピック2022関連広告から!

 

Toyota | Start Your Impossible | Doors

実際の選手を起用したトヨタの広告。

冬季オリンピックの選手たちが、「不可能に見えても、できると信じて 一緒に前に進もう」と近未来的な新しい移動の形を紹介していきます。

動画中盤に登場するのは、東京オリンピック中もテスト走行していた、トヨタのE-palette。この動画で強く打ち出されている「Start Your Impossible」というキーワードは、「全ての人に移動の自由を」というトヨタの新たな目標を表し、E-paletteはまさに、それを可能とするMaaS専用EV自動運転車です。

今回の北京オリンピックの会場にも、100%リサイクルボトルに入ったコーラを販売するコカコーラとのコラボ車やVR展示を車内で行うパナソニックとのタイアップバージョンの車体が展示されていたとのこと。持続可能で、どんな人にもやさしい社会に向けての意欲を感じるCMですね!モビリティの話なのに出演者がパラリンピアンではなく全員オリンピアンなのがすこし不思議ですが…!

 

BBC | The Olympic Winter Games - Trailer

このブログでも以前、東京オリンピックバージョンをご紹介した、BBCによるオリンピックのトレイラー映像です。今回は地域色は少なめですが、はじける氷にウィンタースポーツの迫力を感じます!

3Dプリンターで作成した氷の模型を、入れ替えて撮影するこまどりの手法をとっており、カメラワークや競技から競技の切り替わりなど、今回も緻密に計算された作品ですね。

 

一方、アメリカのケーブルテレビを運営する企業であるComcastもオリンピック関連のCMを放映しています。

 

COMCAST  | Generations

 

f:id:bbmedia:20220331164720p:plain

vimeoからのスクリーンキャプチャ

https://player.vimeo.com/progressive_redirect/playback/684326731/rendition/720p?loc=external&signature=50bc47f15ffaea0409e2a0f5332e329f6790e6448cbc836d39e865251313af01

 

最初に流れている映像は、アメリカの女子ボブスレー選手 ボネッタ・フラワーズが、黒人選手として初めて、冬季オリンピックで金メダルを獲得した時の映像です。それをテレビで観ているのが、今季のオリンピックで、黒人史上最多メダル獲得者となった、ボブスレー選手のエラナ・マイヤーズテーラー。彼女のメダル獲得の瞬間を、次世代を担う少女が見つめている、というところで映像は終わります。

 

最後の二つのコピーは

「何が可能で何が不可能か、変えるにはたった一人でいい」

「未来のチームメンバーの家に、インスピレーションを届けています」

 

実際に、ボネッタの金メダルに励まされたとエラナはインタビューで語っており、冬季オリンピックの黒人選手たちにはそういったレガシーがある、とのこと。スポーツの力を感じさせつつ、テレビの力もちゃっかりアピールするCMでした!

 

P&G | Always There | Chloe Kim

P&Gはオリンピックのたびに、オリンピック選手を支える母の愛をテーマにした、ストーリー仕立てのCMを打ち出してきていましたが、今回のテーマは父の愛。スノーボードのクロエ・キム選手の幼少期の映像を使用しながら、父に感謝を伝えるキム選手のモノローグが流れます。

最後のコピーは、「あなたがいつもそばにいてくれたから、今私はここにいられる」

母の愛も父の愛も変わらず、シンプルですが涙腺に刺さるCMです……。

 

今回のP&GのCMは例年と違い、母と子ではなく、父と子の関係性をフィーチャーしていましたが、その裏側には男性の育児への向き合い方が変わってきた、という時勢の影響が大きいのではないでしょうか。

 

まだまだ課題はありますが、今まさに変革中の課題を取り扱っている、

国際女性デー 関連広告を続いてご紹介します!

 

ARIEL | When we #SeeEqual, we #Share TheLoad

まずは先程のP&Gのブランドである洗剤のアリエールの広告。

女性が家事に理解のない夫と共に、友人が二人暮らしをしているお宅を訪問すると、二人が仲良く家事を分担する姿が。妻が「ああいいうの、いいね」と夫に声をかけると、「僕も男友達とシェアハウスしていた時は分担してたよ」と答えられ、「なぜ私とは分担できないの?わたしのことちゃんと、対等だと思ってる?」と聞かれ、ハッとする夫……

実はこのアリエールの#ShareTheLoad キャンペーンはシリーズもので、2016年バージョンのこちらはカンヌライオンズでGlass Lionsを受賞しています。

忙しく働きながらも家のことをひとりでこなす娘と、何もしない義理の息子を見つめる父は、今まで妻の家事を手伝おうともしなかったことに気が付く。いまからでも遅くはないと、洗濯を学び出す父……

「家事はすべて私の仕事なんだ」と娘に自然を学ばせるような環境で、娘を育ててしまったことを悔やみ、取り戻そうとする父の姿を通して、社会に現状のままで良いのか、と問いかけます。

CMの他に、洗剤パッケージに「男女どちらさまにもお使いいただけます」と印字したり、夫婦で分担する用の洗濯カレンダーを配布するなどの施策をおこなっていたようです。

 

Unilever | #EquityIs

 
 
 
 
 
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 こちらはユニリーバのインスタグラムから。

「肌の色で、ジェンダーで、性的指向で、体やメンタリティで、差別されたことのない人が言う。『皆平等に生まれてきた』と。『同じチャンスがあって、同じ障壁を乗り越えてきている』と。声をあげるか活動するか。カミングアウトするか溶け込むか。子供かキャリアか。そんな選択をせまられたことがない人が言う。杓子定規で事足りるでしょ、というのは、その定規があなたにあっている時は簡単に言える。

 

だから、『Equality (= 平等)』は『Equity(= 公正)』じゃない。」

平等が叫ばれる社会ですが、その実、本当にそれぞれを尊重するにはどうするべきなの?ということを問い直すコピーです。

 

包括的な社会を実現するために、誰にとっても公正であることを達成するためには、それぞれが何に困っているのか、理解し、柔軟に対応していく必要がある、と訴えかけています。

 

Elvie | Smart tech for smart bodies

 

Elvieというイギリスのフェムテックブランドが制作したCM。

こちらもイギリスのシンガーのEva Lazarusを起用し、CMソングを書き下ろしています。「私は自分の体が大好き、だって素晴らしいから。それはサイズや形の問題じゃない」と歌い出し、複雑で繊細で扱いづらいと表現されがちな女性の体を、複雑で子供を産むことができるよう「よくできている」と表現。「よくできている」からこそおこる面倒ごとを、Elvieのテクノロジーでスマートに、快適に解決すればよい、と製品をPRしつつ、体に対する理解を呼びかけます。

日本でもフェムテックが話題を呼んでいましたが、この映像に出てくるだけでも「こんな商品があるんだ……!」と驚くものばかり。先程のユニリーバのコピーに通じますが、さまざまな人のさまざまな悩みやニーズに応える商品が、簡単に手に入る世の中は、かなり「公正」な感じがしますね。

 

今回ご紹介するのは以上となります!

世界の平和を願うオリンピック・パラリンピック、男女差別の撤廃を願う国際女性デー、どれも課題は山積みですが、それに寄り添った広告をみると未来に希望が持てる気がします!