GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

ワールドカップ2022年

ワールドカップが開催しました!

開催前は人権問題や開催時期などさまざまな問題が報道され、「あれ、盛り上がってない・・・?」と思っていましたが、大会開始後は日本がドイツに初勝利を収めたり、日本のサポーターがゴミ拾いをしている様子がSNSや海外メディアで紹介されるなど良いニュースも。
ちなみに日本サポーターのゴミ拾いは2014年のブラジルW杯でも行われており、ブラジル現地では話題になっていましたが今回ほど大きく取り沙汰されてなく、この8年間でのSNSでの拡散力を実感しています。

一方、開催直前のハプニングニュースではスタジアムでのアルコール販売を約束されていたはずが大会開始直前で禁止にイスラム教徒が多いカタールでは酒類の販売が厳しく制限されており、それ故議論を重ねて販売ができたはずなのに・・・まさかのどんでん返し。

BudweiserのTwitterよりスクリーンキャプチャ

当然一番困ったのはワールドカップのスポンサーで独占販売の権利を得ていたバドワイザー
"Well this is awakward(これは気まずいな・・)"とtweetしていましたが、翌日には大量のビールが積まれた倉庫の画像と一緒に、
「新しい日、新しいツィート。優勝国にはバドワイザーが手に入る。誰が手に入るだろうか?」と投稿しています。

そんな、とほほ・・・なニュースなばかりではなく、今回はBudweiserや話題になったワールドカップ広告を紹介したいと思います!

Budweiser "The world is yours to take"


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バドワイザーは今年の4月に"TOMORROW IS TO TAKE(明日はあなたのもの)"キャンペーンを発表し、ワールドカップではCM "THE WORLD IS YOURS TO TAKE"を公開。
ネイマールJr、リオネル・メッシラヒーム・スターリングの3名の選手が出演し、選手が試合の時に通るトンネルからピッチ場まで若者たちと一緒に歩き進んでいます。

CMでのコピー"NO MATTER YOUR TUNNEL(あなたのトンネルがどんなものであろうとも)"は共感性と多様性を伝えており、"THE WORLD IS YOURS TO TAKE(世界はあなたのもの)"は、自分の信念を貫き挑戦し続けること、野心を抱き大きな目標や夢を追いかけることを促しています。
パンデミック以降、生活の制限を余儀なくされ当たり前だった事ができなくなり、目標や夢を見失ったり、どことなく気持ちがダウンをしている人も多い中で、バドワイザーのメッセージは温かく力強いものがあります。

NIKE "The Footballverse"


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どの選手が最強か説はファンにとって永遠のテーマであり、この論争に終わりはありません。

ナイキのFootballverseではそんなファンの尽きない論争をデジタル技術を使って映像化しています。2006年のレジェンド選手のロナウジーニョを呼び起こし、現在のスター選手のエムバペとの闘いが始まり、1998年と2002年のクリスチアーノ・ロナウドが競い合ったり、女性サッカー選手のアレックス・モーガンやサム・カー達も参戦したりなど、合計12名のナイキと契約のスター選手が競い合います。
ただ、ゲームに終わりはなく、どの世代のアスリートも素晴らしい技を持っており、映像の最後に未来のスター選手を登場させることで、ナイキの長年の信念である"The future of sport has infinite potential"(未来のスポーツには無限の可能性がある)を次世代に伝えています。

また、今までのNIKEのワールドカップ広告は男性選手のみの登場でしたが、女性サッカー選手の他に、TVアニメ「イナズマイレブン」の豪炎寺修也も登場(すぐにレッドカードで退場)やピクセルキャラクターに変身するシーンは今のトレンドや時代背景がとても反映された広告に仕上がっていました。

Adidas "Family Reunion"


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アディダスも各国のスター選手が集結。
それぞれが里帰りの準備をしていますが、再会の場所としてカタールへ向かいます。
ストーリーは異なるものの、NIKEと同様にスター選手とサッカー界のレジェンド選手やデジタル技術を使った若かりし頃のメッシも登場します。

また、日本版のキャンペーンムービー"Japan Football Family Reunion"も公開され、渋谷のスクランブル交差点の大型ビジョンにも登場しました。
日本版ではなでしこジャパンの岩渕選手、長谷川選手、長野選手の他、ブランドアンバサダーの渡辺直美さん、メインキャストでは日本のサッカーのレジェンド選手の中村俊輔さん、川口能活さん、音楽アーティストのDragon AshSuchmosのヨンスさんなど書ききれない程大集結し、昭和生まれには特に胸が熱くなるキャスティングです!

adidas 日本公式HPより

ワールドカップは4年に一回スター選手達が集結する大会ですが、アディダスの広告Family Reunionではスター選手の集結だけでなく、サッカー(スポーツ)を通じて、性別、国境、年齢、職業などさまざまな垣根を越えて一緒に盛り上がれる場所を伝えており、今まで当たり前だったリアルで集まることへの大切さを実感します。

Pepsi "Thirsty For More"


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ペプシではレジェンド選手のメッシ、ポグバ、ロナウジーニョが登場。
カタールの街で地元の若者と試合をし、それぞれの股の間をボールが通過すればゴール!といった「ナツメグ(股抜き)ロワイヤル」が繰り広げられています。

映像のタイトルにもなっているThirsty for Moreは今回新しく発表されたグローバルブランドタグラインになります。
Thirsty for Moreは、予想外な体験を楽しむ好奇心旺盛な人たちを称賛するペプシのコミットメントの一部であり、夢中になれるサッカー、音楽、ユニークな体験を通じて消費者と深いつながりを持たせることを目的としています。

YouTubeよりスクリーンキャプチャ

CMでもペプシを渡そうとする若者がメッシの股の間にボールを蹴ることで、突如世界中が注目をする試合に発展するといった予想外な展開とエキサイティングな試合はペプシのコミットメントが込められています。

そしてペプシのThirsty for MoreはZ世代をターゲットにしていますが、他の世代に比べてZ世代の健康志向が高いことも関係しています。
世界的な消費者動向を予測するWGSNのレポートによると、Z世代はアルコールや炭酸飲料に対して不健康に感じており、クリーン、機能的サステイナブル、社会に良い影響を与えている商品が好まれています。

デュエット投稿:TikTokよりスクリーンキャプチャ

CMではビデオゲームの要素が盛り込まれた演出、サッカー好きな有名TikTokerのLuvaの出演に加え、TikTokで流行っているデュエット投稿など、果たして若者にどう響いたか。
少なくともミレニアル世代の私には98年に流行ったFatboy Slimの "The Rockafeller Skank"が音楽が使われていてグッときた広告でした。


どのブランドも熱いメッセージが込められたワールドカップ広告。
みなさんはどの広告が響きましたでしょうか。

次回はホリディ広告を紹介したいと思います!