GLOBAL CREATIVE TRIP

世界各国を旅しながら働く児玉が、海外のクリエイティブトレンドをいちはやくレポートします。

カンヌセミナー2018 Day2 Branded Consumer Experience

本日2日目のブログトピックは、Branded Consumer Experiencesについて。

登壇者はeight inc.の創設者であり、CEOのTim Kobe。

 

彼の大きな実績は...

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eight inc. ホームページより

 

約20年前、新しいリテールの形を作りあげたApple Storeのコンセプトをデザインした方です。

 

eigth inc.のウェブサイトに記載されているのは、

We design meaningful human experiences.
Experiences with emotion and purpose that change the way people think, feel and do.

私たちは意味あるヒューマンエクスピリアンスをデザインします。

人の考え、感じ方、行動を変える、エモーションとパーパスのあるエクスピリアンスを。

 

この文章でわかるのは、エクスピリアンスではなく、ヒューマンエクスピリアンスであること。彼らがデザインするエクスピリアンスはすべて人を中心に考えている。

人に、どういった価値をもたらしているのか?

すごく分かりやすい考え方として、例にあがったのが初代iPod

初代iPodの容量、寸法などは誰も覚えていないし、そこに価値を置いていない。ハードウェアの詳細より、ポケットに1000曲持ち運べる、という革命的な価値が記憶に残る。

 

エモーショナルなつながりを作り出すEXPERIENCEの鍵とは?

 

① ADOPTION:導入されることが、イノベーションの証拠

エクスピリアンスを通して、エモーショナルなレベルで消費者とつながれた時

- その消費者がブランドの代弁者になってもらえる確率が12倍へ

- 過ちを起こした場合、許してもらえる確率が5倍へ

 

事例>>Nissan Crossing

 

銀座の交差点にある日産のショーケースをエクスピリアンスセンターへと作り変えた事例。自動運転車など、新しい移動ソリューションをショーケースし、強いブランドエンゲージメントを実現した。

もともと1ヶ月に4000名の来場者というKPIを設定されていたのを、1ヶ月の来場者を平均250,000名という結果を出した。

 

 

② COURAGEOUS:勇敢であれ

企業のCEOとCMOは自分の商品自体の差別化を大事にする。なのに、その商品の提供の仕方、コミュニケーションの仕方は競合他社と全く同じにしてします。なので、

- 80%のCEOは自分の商品は差別化できていると思っている

- 8%の消費者が上記の発言に同意する

 

Apple Storeが2001年に登場したとき、全く新しい試みであり、多くの人が失敗すると思っていた。

 

"痛々しい無駄遣いに気づくまでに2年もかからないと思う"

by2001年/ブルームバーグ

 

あのスティーブ・ジョブスが、初のApple Storeオープン直前に、ポロッと「誰も来なかったらどうする?」と弱音を吐いたらしい。

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"おそらく歴代で最も利益を出した店舗"

by 2010年/ブルームバーグ

 

結果、スティーブ・ジョブスの大きな賭けによって、Appleは大きな成功を納め、リテールのあり方を変えた。

 

 

③ Be Relevant Be Connected:意味あり、つながりあり

The next billion dollar business will come from a deep insight into what our users need but can't articulate.

次の10億ドルビジネスは、ユーザーが必要としているけれども、はっきりと説明できない深いインサイトから登場する

グーグル、アマゾンなどの企業が成功している理由は、いくつかの受容器があり、消費者がブランドとエンゲージする度、その企業は知識を得ている。

例>Googleで検索をする度、Googleはよりスマートになっていく

 

事例>>Xiaomi

中国の大手家電企業であるXiaomiから出た発注内容とは、新しいリテールエクスピリアンスを創造すること。

何が新しいかというと、商品の数。通常200㎡の敷地があると、200の商品をディスプレイするのだが、この店舗では2000の商品を用意。店舗に商品を並べるのではなく、店舗内にデジタルポータルを作り、消費者がスマホを使って、デジタル上でインタラクションできるようにした。

気になる商品があると消費者はその商品をタップし、サイネージ上で商品名、金額、簡単な情報、QRコードが表示される。より詳しく知りたければ、自分のスマホQRコードをスキャンし、購入から送付、というトランズアクションが可能に。

 

この試みで実現した3つのイイこと

1. 消費者のインタラクションをデータ化することができ、よりスマートになっていくシステムを開発

2. 狭い空間の中でも多くの商品をショーケースすることに成功

3. 売上が10倍に

 

④ Irrational Loyalty:理性ない忠誠心

You buy emotionally and justify rationally

購入は感情的であり、理性的にその購入を正当化する

 

購入の50%は口コミによるもの。さらに80%の口コミはダイレクトな体験から発生する。

 

事例>>Acure Digital Vending Machine

 

JRのプラットフォームに置かれるデジタル自動販売機をデザインした。「日々の通勤をサポート」というコンセプトを基に、ただ商品を購入できるのではなく、その日の天気を教えてくれたり、内臓されている顔認識カメラで女性か男性か、だいたいの年齢を識別し、そのデモグラフィックでよく購入されている商品をディスプレイの真ん中に配置し、購入されやすいようにした。

Acureの転機は、東日本大震災の時にきた。地震の多い日本ということもあり、災害時に備え、自動販売機にバッテリーを内臓し、停電しても稼働できるようにした。店舗から商品が消えた中、自動販売機のディスプレイには「必要であれば、どうぞ」というメッセージとともに、無料で飲料を提供したのだとか。その行いが口コミで広がり、わざわざこの自動販売機を使う消費者が増えた。

 

セミナーのメインTAKEAWAY

- アイデアは、イノベーションのはじまりでしかなく、そのアイデアが導入され、人がそれに触れ、価値を感じなければイノベーションとは言えない。

- エクスピリアンスの中心にあるのは人間であり、人間にエモーショナル、かつ意味ある体験を提供することによって、記憶に残るつながりが形成される。