CES2019 CONTEXTUAL ADVERTISING
砂漠のど真ん中にいるからなのか、全身乾燥気味の児玉です。
さて、1つ前のブログではコンテンツと同じほど、コンテキスト(文脈)が重要であると言われているとご紹介したのですが、ブランドはどのようにコンテンツにコンテキストを加えていけるのでしょうか。
Transforming Contextual Advertising and Media(コンテクスチュアル広告とメディアの改革)というセミナーで紹介された事例をいくつかご紹介します。
若干「コンテクスチュアル広告」というよりは「コンテクスチュアルコンテンツ」の内容でしたが。
※CONTEXTUAL ADVERTISING = 文脈に基づいた広告
Spotify(スポティファイ)がCESで発表した新しい広告枠
Spotifyは世界最大のストリーミングサービスです。Spotifyの最も人気コンテンツで、他プラットフォームとの差別化コンテンツとなっているのがDiscover Weekly。
<Discover Weekly(ディスカバー・ウィークリー)とは>
毎週月曜日、各アカウントの視聴履歴から算出したそのアカウントだけのプレイリストを全2億名のユーザーに提供しているサービスです。そのプレイリストは"Discover"ということもあり、"お気に入り"とは違い、AIとデータを使って、そのアカウントの好きそうな今まで出会っていない音楽を紹介してくれる、というのが特徴となります。
ブランドがスポンサーしているプレイリストの提供は、数年前からSpotifyの広告形態として存在していたのですが、Discover Weeklyのコンテンツに広告枠を持たせる、というのは初めてで、ここまでエンゲージメントの高いコンテンツでの広告チャンスはちょっとしたニュースになっています。Discover Weeklyプレイリスト内の音楽の合間にラジオ広告、もしくは動画広告を掲載することを可能にし、β版としてまずMicrosoftの広告を流す、と発表しています。
Discover Weeklyは、一人ひとりに向けたパーソナラズされたコンテンツですが、その合間に流れる広告が今後、どこまでパーソナライズされていくかが気になりますね。Spotifyの登壇者も結局、Discover Weeklyのように一人ひとりに向けたパーソナライズされたコンテンツは可能となったが、広告に関してはそこまで至っていない、というふうに言っていました。
Spotify自身の広告として、面白い施策があるので、それもちらっとご紹介!
年末に1年の振り返りキャンペーンとして、その年ヒットした曲やアーティストをビルボード広告に掲載するのが定番化しているSpotifyですが、2018年の広告はユーザーのアカウントデータを使用して作られたもの。(もちろんユーザーに許諾をもらって...)プレミアムユーザーに向けたサービスであり、ユーザーの1年を振り返ったWrapped Cardという成績表みたいなものを世界の象徴的な場所(タイムズスクエア、ピカデリーサーカスなど)で掲載するチャンスを与えました。
Spotifyは、AIとデータを使ったデジタルコンテンツですが、近年、デジタルが進むにつれ、リアル空間の体験型、というのがトレンドとなっています。そのリアルスペースを使ったコンテンツも1つご紹介します。
refinery29(リファイナリー29)
refinery29とはミレ二アル世代から圧倒的な指示を誇る女性向けメディアです。もちろんデジタルコンテンツ内にネイティブアドとして、広告を掲載することが可能なのですが、リアル空間で行なっている人気コンテンツとして「29Rooms」という展示イベントがあります。
29の部屋に29のアーティストが独自のインタラクティブ空間を作り上げる、というアートとカルチャーを楽しむ人気イベントです。もともとニューヨークで始まったのですが、今は他の都市で地元のアーティストとコラボして開催されています。
もともとは純粋にファンを楽しませるイベントとして始まったのですが、徐々にブランド側から自分たちも部屋が欲しい、という要望があり、今は29の部屋のうち、8か9部屋がブランドに設けられています。
去年9月、29Roomsに参加したRevlon(化粧ブランド)はタッチアップスペースを作るとともに、Refinery29の購読者たちと作り上げた商品をその場で販売する、ということをやっていました。商品開発、コンテンツ、リテールがうまい具合混ざり合っていますね。
CONTEXTUAL ADVERTISINGが本領発揮するのは、まだ先、と言われていますが、成功させるための3つの成分は決まっているようです。
① 消費者の行動、欲求、気持ちを知るためのデータ
② 消費者が共感できる、楽しめるコンテンツ
③ データを利用して、適したコンテンツを適した場所に組み合わせるコンテキスト
また、今、広告業界で最も重要視されているのがスピードであり、これらをどうリアルタイムで行なっていけるかが課題になってきそうです。
次回は、このような広告背景で、どうエージェンシーとブランドが変革しているか、です!