カンヌセミナー2018 Day4 KFC
カンヌ4日目のセミナーで最もエンターテイメント性が高かったのはこちら!
生き返ったカーネル・サンダーズが司会進行を務めたKFCのセミナーです。
サンダーズおじさん以外に登壇したのは、サンダーズおじさんを死から生き返らせたKFCのマーケティングディレクターと、エージェンシーWieden+Kennedyのエグゼクティブクリエイティブディレクターです。セミナーの題名は、
How a Chicken Salesman Predicted the Future of Modern Marketing
チキンのセールスマンが未来のモダンマーケティングを予測
チキンのセールスマンとは、創業者のカーネル・サンダースのこと。彼のおかけでここ数年KFCが以前の輝きを取り戻せた、と言っても過言ではない。
ここ数年、Wieden+Kennedyとパートナシップを結んでから、KFCがニュース、いわゆるポップカルチャーで目にすることが圧倒的に増えました。そこには、11種類のスパイスとハーブによる秘伝のレシピ以外にいくつかの秘密が...。
1. THE ROAD TO MEDIOCRITY IS PAVED BY IN-HOUSE CREATIVE
平凡への道は、IN-HOUSEクリエイティブによって敷かれている。
Wieden+KennedyのECD曰く、「無知は我々の強みである」
というのもブランドを知りすぎていると、ブランドを客観的に見ることができなくなる、ということ。そもそも、一般の消費者は熱烈なKFCファンでもないので、何も知らない方が消費者の視点でブランドを見ることができる。
KFCのアカウントを獲得した当初、Wieden+KennedyはKFCについて全くの無知であった、という。KFCについて学ぶため、ルイジアナ州にあるKFC歴史館へと訪れた際、カーネルサンダーズが作りあげたブランドとレガシーに初めて触れる。
実は、ブランドの低迷期時、自分たちを見失ったKFCは、長年培ってきたKFCのブランドアセットを消し去っていった。
-有名なタグライン「Finger Lickin' Good!」を使わなくなり
-白に赤のストライプを使わなくなり
-ブランド名をケンタッキーフライドチキンからKFCへ変更し
-カーネルサンダーズのイラストともおさらば
これらのアセットを発見したWieden+Kennedyは、もう一度蘇らせ、さらにブランドの顔であったカーネルサンダーズも蘇らせた。
テレビコマーシャルで、カーネルサンダーズに扮した有名人を次々と起用。新しいテレビコマーシャルがOAされる度に話題となった。上記は女性が初めてカーネルサンダーズ役をこなした時のもの。
2. MODERN BRANDS ARE BUILT BY BRANDED EVERYTHING
今のブランドは、ブランデッドエブリシングによって作り上げられている
ブランデッドエブリシングとは、本当に、メディア、プラットフォーム、手法の枠を超えて、すべてにブランドを絡める戦略。いわゆる、面白く、ブランドへとつなげれるのであればなんでもOK状態。
ロマンス小説の主人公になっちゃうカーネルサンダーズ
ドライブスルーのロボットを開発
KFCのアパレルブランド
3. SCREW MIRROR MARKETING (AND OTHER MARKETING FORMULAS)
ミラーマーケティング(そしてその他のマーケティング手法)はクソくらえ
狙いたいターゲットを広告に反映しなくてはいけない、キャッチーなハッシュタグを使わなきゃいけない、拡散してもらえるようUGCを促すキャンペーンじゃなきゃいけない、など、マーケティングの手法を囚われすぎて、ブランドの本質のメッセージを忘れたら、そこでゲームオーバー!
自分を失っていた時のKFC。
4. ONE AWESOME AGENCY IS BETTER THAN FIVE
5つのエージェンシーを抱えるより、1つ最高のエージェンシーのほうが良い
クリエイティブ、メディア、ソーシャル、PRなど、今のブランドは各ケーパビリティに合わせて、エージェンシーを使いわけることが多い。しかし、使いわけることによって、失っている。
もちろん何かが発生した場合、ブランドのマーケターは電話1本で済むので楽ちん!という利便性以外に、ソーシャルを担当していないクリエイティブが面白いソーシャルでのアイデアを思いついたとしても、なかなか提案できない。また、エージェンシーも書くセグメントでアイデアを考えなくなるので、ビッグアイデアが出てきづらい。
一見、「KFC、面白いことばっかりしてるじゃん」と思うかもしれませんが、必ずしも打率が良いというわけではないようです。
2018年、世の中に出したコンテンツ数は1850
もちろんツイートも含めての数字ですが、それにしても多い。多くのコンテンツを世の中に出すことによって、一つ一つのコンテンツへのプレッシャーが少なくなるから、いいのだとか。
さて、ケンタッキーを食べたくなってきてしまったので、このブログはここまで。
(あの辛いやつが好きなんですよね。カンヌにはないんですよね)