GLOBAL CREATIVE TRIP

海外のブランド事例やクリエイティブトレンドをいちはやくレポート

SXSW2019 アートプログラム

SXSWはただのカンファレンスではなく、他のカンファレンスと異なるのが様々な分野が集結、converge(コンバージ)する、という点です。元々音楽祭から始まっているからでしょうか。音楽、映画、テクノロジー、デザイン、アート、エンタメ、ゲーム、教育、コミュニケーションなどなど、様々な方面からの人々が集まり、アイデアを共有するハブとなっています。

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メイン会場であるオースティンコンベンションセンター
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SXSW2019 老舗リテーラーの進化:ウォルマート篇

「打倒アマゾン」とメラメラと闘志を燃やしているのは世界最大手のスーパーマーケットチェーンのウォルマートです。ウォルマートの企業宣言は、Save Money.  Live Better(お金を節約。より良い生活を。)です。昔からウォルマートを知っている人だと思い浮かぶのは、どでかい店舗に乱雑と置かれた品物たち。「安さを重視するには、こんなものか」と思ってしまう、なんとも言えない虚しい買い物体験です。

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前列の男性の頭から中々逃れられず...
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SXSW2019 老舗リテーラーの進化:メイシーズ篇

Macy’s(メイシーズ)とは、アメリカの老舗百貨店です。18ヶ月前から始めた施策が話題を呼んでおり、その概要をSXSWのセミナーで取り上げられていたので、少しご紹介します。そのセミナーの名前は、Why Storytelling Sells: Platform Purchasing Power(ストーリーテリングが購買を促進する理由:プラットフォーム販売が持つ力)。

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Macy'sが登壇したセミナー
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MWC2019 GLOMO賞

毎年バルセロナで開催されるモバイルワールドコングレスでは、Glomo Awards(グローモー賞)の発表があります。Global Mobile Awards(グローバルモバイルアワード)を略して、GLOMO。可愛らしい名前ですね。

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Mobile World Congressウェブサイトより

ネットワークのインフラ、モバイルやウェアラブルのハードウェア、モバイルサービス等、モバイルに関係する様々なカテゴリーがあるのですが、その中から受賞者をいくつかご紹介します。

 

Best Mobile Service for the Connected Life/Best Mobile Innovation for Education

受賞者:Aira, Visual Interpreter for the Blind(アイラ、盲目の方への視覚的通訳者)

2つのカテゴリーで受賞したのがAiraという会社です。世の中が視覚的に拡張されていく中、目が見えない人でも拡張された世界を体験できるためのコネクテッドサービスです。盲目の人がスマートグラスをかけ、遠隔でその人の視点をリアルタイムで確認しているオペレーターが補助する、という仕組みです。周りの環境を説明したり、道の案内、カーサービスの呼び出し等を行い、全面に教育、職探し、勤務、育児、生活の5つのエリアをサポートします。

 

Best Mobile Video Content Service

受賞者:SK telecomのoksusu Social VR

SKテレコムとは、韓国最大の通信事業会社で、oksusuとは韓国で最も人気のビデオコンテンツプラットフォームです。今年のMWCで発表したのが、oksusuのソーシャルVRアプリ、「oksusu Social VR」です。Google Daydream、もしくはSamsung Gear VRを通して、遠く離れた友達と一緒にビデオコンテンツをバーチャルの空間の中で楽しめる、というもの。ユーザーはそれぞれアバターも持ち、空間の中で手を振ったり、ポップコーンを投げつけたり、紙飛行機を飛ばしたり、などのアクションをジェンスチャー認識テクノロジーを使って可能にしています。

 

Best Mobile VR or AR

受賞者:AccentureのAVEnueS

AVEnueSとは、Accenture Virtual Experience Solutionの略であり、Accentureが取り組んでいるVRを通してのトレーニングソリューションです。上記のビデオは社会福祉職員が直面するであろう児童虐待の家庭調査をVRで体験できる、というものです。児童虐待という複雑な状況を正しく精査するのには長年の経験が必要、と言われている中、VRのような没入型の教育手法がとても効果的なようです。

 

その他のGLOMO受賞者はこちらから!

MWC2019 ARゲームの先駆者Niantic Inc.

Niantic(ナイアンティック)という企業をご存知でしょうか。では、Pokemon GOはどうでしょう。Nianticは、任天堂Pokemon GOを共同開発し、一般消費者にARを普及させた、と言っても過言ではない、ARテクノロジー企業です。そのNianticの創設者であり、CEOのジョン・ハンケ氏が登壇したキーノートセミナーの内容を少しご紹介します。

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Niantic Inc.の 創設者ジョン・ハンケ氏のキーノート

Nianticは、もともとデジタル上で地図を作成すべく、2001年にKeyholeというベンチャー企業として産声をあげています。いずれGoogleに買収され、Google Map、Google Earthの開発へ。(毎日当たり前のように使うGoogle Mapを作ってくれたジョンに感謝!)緻密な地球の地図を世界中の人々の手元へ届けた後、次に何ができるだろうか、と思い、2015年にGoogleから独立し、Niantic Inc.としての活動を開始します。

Niantic Inc.は3つの価値観を基盤に成り立っております。

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Nianticの3つの価値

Exploration <発見>

家族や友達と一緒に冒険できるようなプロダクトを開発したかったこと。どの町にも発見や冒険が待ち受けている、という考えから生まれています。

→ ゲームのユーザーを通して、今までで何億という場所が発見され、共有されています。

Exercise  <運動>

発達している地域こそ、運動不足が問題となっています。歩く、という簡単な行為を促進したかった、という考えから生まれています。

→ ゲームを通して、全ユーザーにより230億キロ歩かれています。

Social <実社会でのつながり>

ソーシャルという言葉を聞くと、必然的にデジタルを思ってしまいますが、Nianticが促進したいソーシャルとは、実社会でのFace to Faceの対話となります。

Nianticが世界各国で開催しているゲームイベントの参加人数は去年の1年間だけで300万人以上と言われています。

 

Nianticが一番最初に開発したIngress(イングレス)というゲームは2500万ダウンロードされており、ARゲームで世界2位の人気を誇っています。そして、その次に開発したPokemon GOは、今で約10億ダウンロードされ、その人気は未だ拡大し続けております。そして、今年、ハリーポッターファンも大注目のHarry PotterのARゲームが公開されます。

 

ARを通して、世界にワクワクを与えているNianticの5Gへの期待は?

Nianticがやりたいことを実現するには、4Gのネットワークでは限界を感じている、とハンケ氏。5Gが実現できたとき、Nianticが創造している3つのことが実現できると考えます。

1. AR Cloud

AR Cloudとは、地球上の環境をすべてマッピングし、人間のため、ではなく、人間が操作するデバイスのためのAR地図を作る、ということ。いわゆる、「地球規模のAR」です。これが実現できたとき、実際の世界にありとあらゆる拡張現実を重ねることが可能となります。Niantic Real World Platformとして、開発途中ですが、これを実現するには、5Gのような処理スピードが必要不可欠となります。

2. ライブイベント

Niantic3つの価値の1つである「実社会でのつながり」を実現しているライブイベントでも5Gは重要となってきます。時には10万人以上が参加するイベントでは、みんながスマホを片手にゲームに参加するものとなります。集中した場所で、何万人以上の端末を稼働させるには、さすがに4Gでは圧迫されている、とのこと。

3. 低遅延

Latency(レイテンシー)という言葉は今年のMWCでよく耳にするのですが、いわゆるネットワークの遅延のことで、5Gになったとき、その遅延が低くなる、ということです。その遅延は1ミリ秒以下となります。どれくらい早くなるのか、というと、説明できないですが、今の4Gだと大体10ミリ秒と言われています...。遅延が少ない、ということは正確な動きを瞬時に伝えられる、ということですが、各業種がこの低遅延に注目しています。ではゲーム上で、どのような意味を持っているのでしょうか。全員が参加しているARゲームだった場合、各プレイヤーやゲーム上のARの動きをすべてトラッキングしている中、何か/誰かがすばやい動きをした場合、その動きについていけないこととなります。

Codename NEONというデモゲームの映像とともに紹介されました。

低遅延によって、このようなリアルタイムで同じAR空間を共有できるマルチプレイヤーのゲームを実現することができます。

 

ジョン・ハンケ氏の締め言葉

未来とは、実世界での多く、もしくは全ての体験がデジタルなインタラクション、インターフェイス、情報、エンターテインメントによって、拡張されたものとなります。このような規模の変化は10年、または数10年に一回訪れるかどうか、というものです。マイクロコンピューターの誕生を幼い頃に体験し、Googleではクラウドの誕生を目の当たりにし、スマホの普及に参加しました。そんな僕から見るARへの移り変わりは、今まで見た変化に値する変化と思います。